雨降りと、あの日の蛙
雨降りです。ズボンと靴下がびしょ濡れです。
私の住んでいる練馬区のはずれでは、近くに畑があるせいか、雨の日には、しょっちゅう蛙が出没します。
小さい緑のやつから、イボイボのある子猫サイズのやつまで。
子猫サイズのやつに出会ってしまった時には、心からギョッとし、しばらく硬直した後で、必ず、あいつのことを思い出すのです。
あいつの生まれ変わりが仕返しに来たのではないのかと・・・・。
私が小学校の1、2年生の頃、家の近くに、小さな小川が流れていました。
その小川のほとりには、ものすごく大きい蟻の巣があり、小さくて気持ちが悪いものがぐちゃぐちゃ動いているのを見るのが好きな私は、よくシャベルで蟻の巣を掘り返しては、逃げ惑うアリンコ達を、ニヤニヤと眺めていました。
ある雨の日、私は、中学生の兄と一緒に、その蟻の巣のそばにいました。
それまで何をして遊んでいたのかは忘れてしまったけれど、
気が付くと、兄は、どこからか、緑色の蛙をとってきていて、ちょっと弱らせた後、蛙をその巨大な蟻の巣の上に置きました。
獲物の匂いを嗅ぎ付けたアリンコ達は、みるみるうちに蛙の体を黒く埋めつくし、蛙は目をパチパチさせて、でも、もはや蟻の毒で体が痺れてしまったのか、じっとしていました。
いつも、兄や姉の、かなり残酷な遊びを見慣れていた私も、さすがにこれはかわいそうなんじゃないかなぁと思い、
兄の方をチラッとみると、途端に兄は言いました。
「陽子のせいだぞ、陽子のせいでこの蛙は死ぬんだぞ。」
「!!?」
だって、お兄ちゃんが、やったんじゃないか。
お兄ちゃんがやったんじゃないか。
「陽子が助けなかったから悪いんだぞ。陽子のせいだぞ。」
「!!!?」
だって、お兄ちゃんがーっ!
お兄ちゃんがーっっ!
お兄ちゃんがーーっっ・・
私が?
私がーっ!?
私がーーっっ!!?
目をシバシバさせ続ける蛙を見ながら、しかし、アリンコまみれになった蛙を、助ける勇気が私にはなく、俗にいう、トラウマというものが、植え付けられた夕暮れだったのでした。
・・・・・・。
笑い話を書くつもりが、なんだか変な具合になってしまった。
こわいよぅ。こわいよぅ。
デカイ蛙が仕返しに来るよぅ。
以上、変態きょうだい小噺でした。
山本陽子

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